- 同じ席なのに、日によって値段が違う
- 数日前に見た時と価格が変わっている

Jリーグのチケットを購入しようとした時に、このように感じたことはないでしょうか?
それは、近年多くのクラブで導入している「ダイナミックプライシング(価格変動制)」が関係しているからです。
試合の人気度や販売状況といった需要に応じて、チケット価格がに変動する仕組みで、購入するタイミングによって価格が変わります。
本記事では、このダイナミックプライシングの基本的な仕組みから、メリット・デメリット、そして2025年シーズンにおける各クラブの導入状況まで、徹底的に解説していきます。
ダイナミックプライシングとは?

まず、ダイナミックプライシングがどのような仕組みなのか、基本から見ていきましょう。
定義と仕組み
ダイナミックプライシングとは、試合日程、席種、対戦カード、天候、過去の販売実績といった様々な要因をAI(人工知能)が分析し、リアルタイムの需要を予測して、チケット価格を自動で変更する販売手法です。
最大の特徴は、購入するタイミングによって価格が異なる点にあります。
例えば、人気が集中すると予想される試合では価格が上がり、逆に需要が低いと見込まれる試合では価格が下がる傾向にあります。
この価格算出には、Jリーグの多くのクラブでダイナミックプラス株式会社などの専門企業が持つ価格算出技術が用いられており、膨大なビッグデータに基づいた精緻な価格設定が行われています。
狙いは「適正価格」での販売と「転売抑止」
クラブがこの仕組みを導入する主な狙いは、大きく分けて2つあります。
ひとつは、需要に応じた「適正価格」でチケットを販売し、収益を最大化することです。
人気カードのチケットが瞬時に完売し、その一方で注目度の低い試合では空席が目立つ、といった需給のミスマッチを解消する狙いがあります。
もうひとつの狙いが、「高額転売の抑止」です。
需要が高いチケットの価格を公式(一次流通)が引き上げることで、転売業者が利益を得るための価格差を小さくし、不当な高額転売の利益を減らす効果が期待されています。

Jリーグも早くからこの方針を示しており、ファンが公正な価格でチケットを入手できる環境づくりを目指しています。
「フレックスプライス」との違い
ダイナミックプライシングと混同されやすいものに「フレックスプライス」があります。両者の違いは価格が変動するタイミングです。
ダイナミックプライシング:
販売期間中、需要に応じてリアルタイムで価格が変動する。
フレックスプライス:
試合の重要度や人気度に応じて、あらかじめ「★5」「カテゴリーA」といった複数の価格帯を設定。販売開始前に試合ごとの価格が決定され、販売期間中に価格は原則変動しない。

つまり、販売中に価格が動くのが「ダイナミックプライシング」、試合ごとに固定された価格パターンを適用するのが「フレックスプライス」と理解すると分かりやすいでしょう。
なぜJリーグで導入が進むのか(背景・メリット/デメリット)
では、なぜJリーグの各クラブでダイナミックプライシングの導入が広がっているのでしょうか。その背景と、ファン・クラブ双方にとってのメリットとデメリットを整理します。
導入の背景
Jリーグでは、人気クラブ同士の対戦やシーズン終盤の重要な一戦でチケットが早期に完売し、その直後から他のサイトで高額転売される問題が長年指摘されてきました。

一方で、平日の試合や下位チームとの対戦では、集客に苦戦するケースも少なくありません。
こうした状況に対し、需要と供給のバランスを最適化し、クラブの収益性を高めると同時に、ファンに公平な購入機会を提供するための解決策として、ダイナミックプライシングが注目され、導入が拡大しています。
メリット
収益の最大化:
人気試合で需要に応じた価格設定をすることで、収益機会の損失を防ぎます
集客の促進:
需要が低い試合の価格を戦略的に下げることで、新たなファン層の来場を促します
購入機会の確保:
転売目的の買い占めが減ることで、本当に観戦したい人がチケットを入手しやすくなる可能性があります。
割安で購入:
人気の低い試合や、早めのタイミングであれば、従来の固定価格より安く購入できる場合があります。
デメリットと懸念点
価格の予測困難性:
「いつ買うのが一番安いのか」の判断が難しく、購入のタイミングに迷うことがあります。
価格の高騰:
特にアウェイ席のチケット価格が、遠征費用に加えて高騰することで、アウェイサポーターの負担が増えるケースがSNSなどで話題になることもあります。
ファン心理への影響:
純粋な応援をしたいファンが心理的な抵抗を感じる場合があります。
「1日に価格を変更する回数に上限を設ける」「チケットの払い戻しが生じた場合は、購入時の価格で対応する」といった独自の運用ルールを公式サイトで明示し対応しているクラブもあるようです。


導入事例(2025年時点の公開情報より)
ここでは、2025年シーズンにおいてダイナミックプライシングを導入している主なJリーグクラブの事例を紹介します。
- 横浜F・マリノス
- 川崎フロンターレ
- ヴィッセル神戸
- ガンバ大阪
- 名古屋グランパ など
ダイナミックプライシングを導入するクラブはJ1クラブがほとんどですが、一部J2・J3クラブでも導入(試験導入含む)しているクラブがあるそうです。


フレックスプライス採用クラブ
前述の通り、ダイナミックプライシングとは異なる「フレックスプライス(試合ごとの価格固定制)」を採用しているクラブもあります。
- サンフレッチェ広島
- 東京ヴェルディ
- 横浜FC など
これらのクラブでは、販売期間中に価格は変動しませんが、対戦カードによって価格が異なるため、購入前に公式サイトの価格表を確認することが重要です。
まとめ:3つのポイント

最後に、ダイナミックプライシングとチケットを購入する際のポイントを3つにまとめます。
「販売中に需要で価格が動く」仕組みを理解する
ダイナミックプライシングは、需要に応じて価格がリアルタイムで変動する仕組みです。
その狙いは、クラブの収益最適化と高額転売の抑止にあります。
先行販売など、早めのタイミングで価格をチェックする
一般的に、チケットは販売開始直後や、需要が高まる前に購入する方が安価な傾向にあります。
ファンクラブ会員向けの先行販売などを利用し、早めに価格を確認・検討するのがお得と言えるでしょう。
公式サイトで最新価格を確認し、様々な選択肢を比較する
価格は常に変動するため、購入前には必ずクラブの公式チケット販売ページで最新の価格を確認してください。
また、通常の指定席だけでなく、クラブが販売する見切れ席などの「条件付きチケット」や、公式の「リセールサービス」も比較検討することで、お得に観戦できる可能性があります。
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